尾道を歩くと、地図で見る距離よりも体がちゃんと使われる感じがある。
駅から少し離れただけで坂が始まって、路地は細くなって、家の間から急に海が見える。
その見え方がずるくて、もう少し先まで行けばもっといい景色があるかもしれないと思ってしまう。
千光寺のほうへ上がる途中、ひと休みのつもりで小さなおやつを買った。
派手なものではないのに、紙袋を持っているだけで散歩が少し遠足っぽくなる。
尾道ラーメンの看板も気になったけれど、坂道でお腹をいっぱいにすると帰り道の自分に怒られそうだった。
こういう判断だけは、なぜか妙に冷静になる。
猫の姿を探しながら歩いている人も多くて、みんな少し上を見たり、足元を見たりしていた。
観光地なのに急かされない空気があって、ベンチに座って船の音を聞いているだけでも時間が過ぎる。
瀬戸内の景色は写真にするときれいだけど、実際は風の抜け方とか、坂を上がったあとの息の感じまでセットで覚えている。
土産物を見ていたら、レモンのお菓子や小さな雑貨が多くて、つい軽いものばかり選んでしまった。
重いものを買うと坂道で後悔するのが分かっているからだ。
それでも袋が増えていくあたり、人は学んでいるようであまり学んでいない。
商店街のほうへ下りると、さっきまで坂の上にいたことが少し不思議になる。
海側の空気と、店先の生活感が近くて、観光しているのに人の暮らしの横を通らせてもらっている感じがした。
古い建物の看板や、路地の奥の階段を見つけるたびに、まだ見ていない場所が残っている気がする。
全部回りきれないくらいの余白がある街は、また来る理由を自然に残してくれる。
帰ってから写真を整理していると、乗らなくなったもののことも一緒に思い出した。
前は気軽に出していたバイクも、最近は置いたままの日が増えている。
手放すか残すかを決める前に、まず今どれくらいの目安になるのかだけ知っておきたい。
そういうときは、いきなり店舗へ持ち込むより、オンラインでざっくり確認できるほうが気が楽だ。
状態や年式で変わるから最終金額は実車を見てもらう必要があるけれど、最初の目安を知る入口としては便利だと思う。
気持ちの整理をするためにも、バイク買取の査定を一度見ておくのはありだなと思った。
尾道の坂道も、家の中の整理も、始める前は少し面倒に見える。
でも一歩進めてみると、次に何をするかが案外はっきりする。
おやつの袋を片づけながら、そういう小さな区切りを作るのも悪くないと思った。